【経年劣化と実損の違い】なぜ損害調査が必要なのか?

劣化現象と実損害の違いを見抜く調査

  家が古かったり、経年劣化がひどいともう保険は使えないと思っている方がいます。しかし一見経年劣化のように見えても、近年の猛威を振るう自然災害が原因で建物に損害が発生している場合があります。
  そのような場合は火災保険の普通約款をよく読んでみると、古いから保険金を支払わないという規定はどこにもないのです。

 (現在の火災保険は新価実損払いや再調達価格といって、古くてももし損害があったら、新品価格で保険金をお支払いしますという約束をしている契約が本当に多いのです)

確かに経年劣化が原因の損害は火災保険の対象外です。しかしそれなら、劣化の中に自然災害でしか起こりえない損害現象を見抜く必要があるのです。しかし、保険会社は積極的にこのことを教えてくれません。

これだけ変わる損害調査を依頼する必要性

私達のお客さまには保険会社や共済から次のようなことを言われて、そうですかと納得している例が少なくありません。

「もう家が古いから、(経年劣化だから)保険は使えません。」

「原因がはっきりしなければ保険は使えません。」

あなたはこのようなことを言われたことはありませんか?

あるお客様が、屋根漆喰の破損が原因で雨漏りが発生し、お客様ご自身で火災保険申請をしました。
しかし鑑定の結果、「劣化」と判断され、提示された保険金額は0円。

保険会社の対応は悪く、どうしても納得のいかないお客様から、弊社に直接お問合せがありました。
弊社にて再調査を実施しました。写真撮影を実施し、お客様が保険会社に再申請すると・・・

保険金は出ませんと言われても諦めてはいけません。何故なのか検証する必要があります。

なんと、その結果230万円が支払われました。

追加の申請で成功したケース

とある工場では、屋上の防水シートが台風で剥がれて、お客様ご自身で火災保険申請。
鑑定の結果も拝見したところ、適正に認められていました。普通ならこれで万事OKなはずですが・・・

このような場合でも「申請もれ」というケースがあります。
私たちは再調査の依頼を受け、併設倉庫の雨樋の破損を発見。倉庫には単独の保険証券が存在しました。

追加申請を行なった結果、

保険会社は原則申請された箇所しか査定しません。他にも損害があるなら契約者は自ら探して申告しなければならないのです。

保険会社は追加認定し、220万円が支払われました。
なぜこのようなことになるのでしょうか?
保険会社は原則申請された箇所しか査定しません。他にも損害があるなら契約者は自ら探して申告しなければならないのです。

損害調査の必要性

以上のように契約者が単独で申請する場合は、保険事故であることを拒否される場合もあります。
また請求箇所は一つの場合が多く、保険会社はわざわざ申告のない複数箇所の損害を査定してくれることは滅多にありません。
ここに損害調査の必要性があります。
今まで、保険会社が自ら損害を指摘してくれるケースは希といっていいでしょう。

※経年劣化でも普通に保険申請する同業者もいることは確かです。ここは一歩間違えると不正請求につながりますので注意が必要です。

以上、現在の火災保険申請の現場で、普通によく起こっていることを解説しました。我々は保険会社を敵にしているわけではありません。損害調査は単なる知識ではなく、現場における損害を見抜く眼が必要であると強く思います。また損害を査定する日本損害保険協会の登録鑑定人が、保険会社の不払いに加担することなく、真に第三者の視点で損害査定されることを望みます。

記事 代表取締役 丸山英男