知っておきたい風災補償の適用例、火災保険でどこまでカバーされるか?

これは気象庁の発表している台風の発生件数を2001年からカウントしたものです。緩やかではありますが、10年前に比べ、台風の発生件数は増加傾向にあります。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年間
2001         1 2 5 6 5 3 1 3 26
2002 1 1     1 3 5 6 4 2 2 1 26
2003 1     1 2 2 2 5 3 3 2   21
2004       1 2 5 2 8 3 3 3 2 29
2005 1   1 1 1   5 5 5 2 2   23
2006         1 1 3 7 3 4 2 2 23
2007       1 1   3 4 5 6 4   24
2008       1 4 1 2 4 4 2 3 1 22
2009         2 2 2 5 7 3 1   22
2010     1       2 5 4 2     14
2011         2 3 4 3 7 1   1 21
2012     1   1 4 4 5 3 5 1 1 25
2013 1 1       4 3 6 7 7 2   31
2014 2 1   2   2 5 1 5 2 1 2 23
2015 1 1 2 1 2 2 3 4 5 4 1 1 27
2016             4 7 7 4 3 1 26
2017       1   1 8 5 4 3 3 2 27
2018 1 1 1     4 5 9 4 1 3   29

 

 近年は異常気象で大雨、竜巻、突風なども頻発しています。
台風もこれまでの台風とは異なり、速度が遅く滞在時間が長いため甚大な被害が出やすいという特徴があるようです。
 これは地球温暖化の影響が一因と言われており、今後もこのような傾向が続くと予測されています。

 台風の増加、異常気象の継続は風災リスクが高まることに繋がります。
風災が火災保険の一部で補償されるということは多くの人が知るところではありますが、今回は具体例を交えて風災補償の適用例について解説します

風災補償の概要と適用範囲】

◆異常気象の災害における風災の補償範囲は?

風災補償では台風、突風、竜巻など風にまつわる災害による損害を補償します。また、これらが原因となった落下、飛来による損害も補償対象です。

◆台風や竜巻、突風や暴風雨による物件の破損

台風、竜巻、突風、暴風雨などは時に非常に強い勢力となります。
例えば、強風で屋根の一部がはがれたり、アンテナが壊れたりするなど、物損被害が生じます。

◆台風や竜巻に飛ばされた飛来物による破損被害も対象

台風や竜巻、突風は物を巻き上げて、吹き飛ばし、それが住宅や家財にぶつかり被害をもたらす場合もあります。
このような飛来物による損害も補償の対象です。

◆保険金支払いも過去最高に

近年の異常気象で風災リスクは高まっている近年、風災リスクが高まりつつあるのは、先に示した台風の発生件数の通りです。
更に実際にこのような災害の増加に連動するように、災害保険の支払い額が急増しています。
特に風災、水災被害の増加により、火災保険を取り扱う大手保険会社3社では、保険金支払いの総額1000億円以上が見込まれているようです。
保険分析をするIRDの発表によれば、2017年のクローバルの保険金支払い額も1,415億ドルと過去最高に達しています。

風速30m以上は立っていられないほど危険で、屋根が飛んだり、外壁が剥がれたりする。

【どんなケースが補償される?】

◆戸建ての風災補償の適用例を紹介

近年リスクの高まっている「風災」ですが、実際はどのようなケースで適用されるのでしょうか。戸建てを例にして解説します。

◇台風によって窓ガラスが割れてしまった

台風、突風の風速20m~25mの風によって、窓ガラスが割れるリスクが高まります。
風速が25m~30mでは取り付け不完全な住宅の外装材なども飛んでくるため、飛来物が原因で窓ガラスが割れることもあります。
このような窓ガラスが割れてしまった場合の修理費用などは風災補償の対象となります。
また、窓ガラスが割れたことで風や雨が吹き込んで破損した家財や家電も補償対象となる場合があります。

◇突風などが原因でカーポートの屋根が飛散した

突風などでカーポートの屋根の一部が飛んでしまうことがあります。
特に設置してから時間が経ち、経年劣化したカーポートによく見られます。突風、台風などによるカーポートの破損被害も補償の対象です。

◇強風で屋根が破損した

強風による屋根の破損も風災補償の対象です。また、屋根そのものではなく、屋根の設置物であるアンテナなどの破損も補償の対象です。

台風で外壁が落ちた例

◆マンションの風災補償の適用例

ここまで戸建に関する風災補償の適用例を紹介してきました。次は戸建てと異なるマンションに関する風災補償の適用例をご紹介します。

◇分譲マンションであれば管理組合でも加入が必須

分譲マンションは専有部分と共用部分に分けられ、専有部分とは分譲された一室などを指し、共用部分は分譲マンションのエントランス、廊下やエレベーターなど共同で使われる部分を指します。

風災で専有部分又は共用部分のどちらが破損したかによって、保険の適用や手続きに違いが生じます。例えばマンションの外装が破損したといった場合は、共用部分の損害となりますから、マンションの管理組合で火災保険に加入していなければ風災による被害にあっても保険で対応できない事態となります。

◇飛来物でマンションの外壁タイルが割れた

マンションの場合も飛来物による外壁・外装の破損が予想されます。戸建てと同じく当然風災補償の対象となります。

◇台風で屋上フェンスが破損

マンションの場合は屋上にフェンスなどが設けられています。このような建物の設置物も補償の対象です。
マンションによっては、屋上に太陽光パネルなどを設置している所もあります。このような設置物も補償されるのでしょうか。

◇太陽光パネルは?

太陽光パネルの場合は、所有者が誰かによって建物として取り扱われる場合と家財として取り扱われる場合があり、補償に含まれるかは保険会社の確認が必要です。

【まとめ】

地球温暖化等の要因で、台風を含めた異常気象の増加により、今後さらに風災のリスクが高まることが予測されます。
風災補償が適用される事例は、戸建てとマンションでポイントは異なりますが、基本的には台風や突風などによる不動産の損傷、一部例外もありますが、不動産に付帯するカーポートやアンテナの損傷が補償の対象です。
また、飛来物による衝突で起きた損害も補償範囲となります。マンションの場合は専有部分の損傷か、共用部分の損傷かで火災保険への加入が必要な主体が変わります。
マンションによっては、専有部分か共用部分かの判断が難しい箇所の破損もあるため、そのような場合は保険会社に相談が必要となるでしょう。

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