雨樋の修理になぜ火災保険が使えるのか?

雨樋が反ったり曲がったりしている家を見かけますが、雪の積雪により雨樋が荷重に耐えられなくなり、変形した可能性があります。このような状態が証明できると、火災保険を使って保険適用で直すことが可能です。


今回はこの雨樋の保険適用について詳しく解説したいと思います。

なぜ大雪の被害と断定できるのか?

雨樋の構造は集水機に向かって、角度を下がって設計されています 集水機に向かってすこし下へ勾配をつけないと、

雨水が雨樋のなかで滞留し、最悪の場場合、水が腐ったり、苔やカビの発生の原因になります。

例えば雪のような重いものが、雪止めから雨樋にかけて暫くの間、溶けないで重しの状態が続くと、金具は耐えきれず、そってしまいます。 反ってはなくても、また勾配がなくなり、屋根と平行になっている場合もあります。

このような勾配が狂ってしまう現象は、一度荷重を超えた大雪があったりすると起きてしまう現象です。

ちなみに積雪の重さは

反ったら雨樋はどうなる?

1度、金具が曲がって反ってしまうと、雨樋の本来の機能が失われます。

屋根に落ちてきた雨水を集めて地面に浸透することができなくなり、雨樋の中に雨水が滞留します。 また反ってしまったら、屋根の雨水を集めずに直接ジャバジャバと雨が落ちてきます。

ひどい雨のときはこの状態を見たことがある方もいるでしょう。 雨樋は集水器に向けて下げた勾配を確保し、中に雨水が滞留してはいけません。

大雪のせいで、この勾配が狂い、本来の雨樋の機能が失われている家が多くあります。 このよう状態は大雪が降らなければ、こんな状態にはならなかったはずです。

補償内容詳細

強風、大粒の雹(ひょう)、突然の大雪…自然の猛威に備えましょう

台風や竜巻、暴風などに伴う強い風が吹くと、屋根瓦が飛んでしまったり、風で飛んできたもので窓ガラスが割れてしまったりといった被害を受けることがあります。また、直後に雨が降れば、建物が壊れてしまった箇所から水漏れが起きて、室内の家具がダメになってしまうことも考えられます。また、雹(ひょう)は小さなものでも固いため、窓ガラスが割れてしまうことがよくあります。雪のたくさん降る地域では、豪雪や雪崩(なだれ)で家屋が倒壊するなどの例があります。

『THE すまいの保険』、『THE 家財の保険』の風災*1、雹災(ひょうさい)、雪災*2*3補償では、これらの原因により受けた以下のような損害を補償します。

  • *1風災:台風、旋風、竜巻、暴風等をいい、洪水(こうずい)、高潮等を除きます。
  • *2雪災:豪雪の場合におけるその雪の重み、落下等による事故または雪崩(なだれ)をいい、融雪水の漏入もしくは凍結、融雪洪水(こうずい)または除雪作業による事故を除きます。
  • *3雪災*2の事故による損害が1回の積雪期において複数生じた場合であって、おのおの別の事故によって生じたことが普通保険約款の規定に基づく確認を行ってもなお明らかでないときは、これらの損害は、1回の事故により生じたものと推定します。
  • ※風、雨、雪、雹(ひょう)、砂塵(さじん)その他これらに類するものの吹込みによって生じた損害については、建物または屋外設備・装置の外側の部分(建物については、外壁、屋根、開口部等をいいます。)が風災*1、雹災(ひょうさい)または雪災*2の事故によって破損し、その破損部分から建物または屋外設備・装置の内部に吹き込むことによって生じた損害にかぎります。

●建物が保険の対象の場合
風災、雹災(ひょうさい)、雪災により家屋が損傷したなどにより建物が損害を受けた場合に、保険金をお支払いします。

●家財が保険の対象の場合
風災、雹災(ひょうさい)、雪災により、家具が損傷したなどにより家財が損害を受けた場合に、保険金をお支払いします。

こんな時でも補償されます

  • 台風による強風で屋根瓦が破損してしまった*
  • 竜巻の影響で飛んできた三輪車が自宅の壁にぶつかり、壁に穴があいてしまった*
  • 雹(ひょう)が降った影響で、ベランダの床板が破損してしまった*
  • 雪崩(なだれ)にまきこまれて自宅が倒壊してしまった*

    *建物が保険の対象に含まれる場合にかぎります。

損保ジャパン引用ここまで

実際の適用実例

それでは実際にどんな状態の雨樋が保険適用できる、写真をご覧ください。

このように大雪の重みみよって、雨どいがいる場合は、火災保険適用の対象になるのです。

もちろん自己負担はありません。 それでは、どのようにすれば、火災保険で直すことができるのでしょうか?

1.保険会社のコールセンターへ保険申請

保険申請はまず保険会社へ事故報告する事から始まります。 事故報告の際には、名前と証券番号が必要になります。

ホームページを検索し、自分の入っている保険会社の事故受付センターに電話しましょう。 もし、遡って過去の事故を申請する場合は、その事故当時に入っていた火災保険会社に電話することになります。

①証券番号わからない場合

証券番号がわからない場合は、保険会社コールセンターで本人確認をする必要があります。 本人確認は住所や生年月日などを告げるだけです。

今後証券が見つかる見込みがない場合は、証券の再発行を依頼しましょう。ほとんどがその場で受け付けてくれるはずです。

②事故日はいつなのか?

雨樋の損害の場合は、大雪の原因がほとんどです。なぜなら、よほどの重量がかからなければ、雨樋の金具が曲がることはないからです。

事故の判断は最終的には保険会社や鑑定人が行いますが、事故報告の際には、直近の大雪の災害日が事故日になります。

③事故報告を代理店にするとどうなるか?

実際に保険契約をした代理店を経由して事故報告をすることもできます。 しかし、火災保険の場合は、代理店を経由する場合では、最近ではほとんどなくなっています。

なぜなら、建物被害の場合は破損箇所の特定において写真の撮影や見積もりなど専門性が強く、鑑定人や業者の手を借りなければ、保険会社に報告ができない状況だからです。

④自動車保険との違い

ですから代理店に報告してしまうと、『古い家だと経年劣化で保険は出ませんよ。』と一言で済ませる方がたまに存在します。

余談ですが、ここで自動車保険と火災保険の大きな違いがみえてきます。 自動車保険はネット契約の場合を除いて、代理店を通して事故報告する場合が多いようです。

また自動車ディーラーが保険販売兼ねている場合も多く、 これは自動車事故は事故の状況が分かりやすく、どう見ても事故だという認識が理解できるからです。

⑤古い家こそ火災保険が使える

しかし、火災保険の場合は、事故の状況が建築の専門家でないと分かりにくい場合が多いのです。

事故の状況が劣化が進んで、そのような破損に至ったのか、それとも自然災害によって破損に至ったのか、難しい判断を要します。 

あまりに築年数が古い家だと劣化が原因だとと答えてしまった方が難しい判断をしなくて済みます。だから経年劣化で済ませてしまうのです。

私の経験ですと、代理店が火災保険の細かい適用状況まで、詳しく知っている代理店は少ないと思われます。実際に火災保険を販売しておきながら、その商品の細かい効用まで説明が難しい。

火災保険の損害はそれほど専門的な知識が必要になります。

例えば事故の細かい実例をあげで、こういう状況ならこのぐらいの保険金が出るんですよと、いちいち説明をしている代理店はほとんどありません。

⑥共済の場合

共済の場合も事故受付コールセンターに電話をします。事故日や証券番号を照会するのは、損保会社と同じです。

(余談ですが、私の経験だと共済の場合は、損害保険会社のように保険金査定のための鑑定人がくることが滅多にありません。

事故の現場写真がしっかりしていれば、その写真で判断して、見舞金(損害保険金ではない)を支払っていることが多いようです。)

2.修理業者から見積もりを取得しよう

火災保険は事故報告をしただけでは、保険金はもらえません。あくまで事故報告した後に、保険金請求書で保険金を請求する必要があります。

修理は信頼できる業者に頼みましょう。 この修理業者の選び方について、解説している記事があります。ぜひ参考にしてください。

『保険申請は修理業者のスキルできまる』  見積書が取得できたら、保険金請求書と一緒に保険会社に送ります。

以上で保険金の申請は完了します。このあと鑑定人による事故現場の調査などを経て、保険金の査定額が決まります。

⑦保険会社のお抱えの業者に注意

ところで、事故報告の際に、特に修理業者が決まっていないときは、保険会社から指定する業者を紹介されることもあります。

修理業者を探すのが面倒な場合は保険会社指定の業者でも構わないのですが、 私自身はこの指定業者をあまりお勧めしません。

なぜなら保険会社の“指定”業者であり、保険会社のために働く業者だからです。 当然のことながら、保険会社と契約者は保険金の支払いにおいて利益相反の関係にあります。

⑧損保不払いの問題

保険会社も契約である約款の通りに、事故を調査し、保険金を支払おうとします。

お客様は損害の状況をすべて確認し、保険金で支払いができるものは、ちゃんと支払ってほしいと願っています。しかし、このような当たり前の関係が疑われる事件がありました。 2006年に起きた、三井住友海上から発覚した保険金不払いの問題でした。 これは、事故があったとしても、できる事なら保険金を支払わないで済ませるという、損害保険会社の経営体質の問題だったと思います。

私は保険金申請の現場にいて、このような体質が良くなっていることはわかりますが、必ずしもきれいに払しょくされているかといえば、そうでないといえることも経験します。 ですから保険会社の指定する業者より、保険金申請の経験が多い業者を選ぶのがベストなのです。

そうでなければ、鑑定人のさじ加減で保険金が決まってしまう事があるからです。

弊社では、建物の知識が豊富で、建物の不具合について原因調査ができて、自然災害の原因の場合は火災保険申請についてプロの業者を紹介します。

このような業者は、 火災保険の申請をものすごい数でこなしており、今までの適用事例がすべて頭に入っています。 このような業者に頼めば、事故で申請できるか、申請できないか、見ればズバリ見抜くことが可能です。

まとめ

以上、雨といの修理に火災保険を使う方法について解説しました。大雪などの災害時に火災保険を使って修理することは保険会社の約款で定められていることです。

契約者としては正々堂々と権利を履行すべきなのです。損害が認められれば、恐らくは自己負担をすることなく、火災保険の契約内容によりますが、ほとんどが新価実損払いで、新品に交換できるはずです。 当たり前ですが、被災したかどうかはあくまで自己申告です。保険会社や代理店から『どうですか?』と電話がかかってくることは滅多にありません。事故の申請はこちらからの自主的に行うのが原則になります。

あなたの家の雨といが曲がっていたら、もしかしたら保険で修理することができるかもしれません。

関連記事

  1. 火災保険で落雷は補償できる!保険の対象や保険金額を解説

  2. 火災保険で水漏れ事故を補償する方法とは?

  3. 【水災】火災保険で補償される範囲をおさえておこう

  4. 火事だけじゃない!最近の火災保険の補償内容について知っていますか?

  5. 火災保険は盗難補償もできる?補償されるものや段取りについて

  6. これだけは知っておきたい!火災保険家財の適用例について!