火災保険は「火災」のほかにも補償対象となるものがたくさんあります。
今回は、火災保険で補償できる物の破損、つまり物損について解説します。車や飛来物などの外部からの衝突事故やうっかりガラスを割ってしましったり、モノを落として壊してしまったり、傷をつけてしまったり、日常に突発的に起こる事故について補償する「その他不足かつ突発的な事故(破損・汚損)」補償の解説です。
目次
【火災保険で物損を補償できる】
火災保険では、一定の保険事由が発生した場合に、建物や家財といった財産にかかる損失を、保険会社から補償してもらうことができます。
火災保険という名称からして、火災保険の保険事由は「火災」に限られるような印象を受けますが、たとえば落雷、風、ひょう、雪などの自然災害による損失や、ガス漏れなど破裂や爆発、そして落下や衝突など事故による損失については、多くの火災保険が補償の対象としています。
◆対象は建物と家財
火災保険の対象となるものは、建物と家財です。
建物しか補償しない契約の場合は、家財は補償できないので注意しましょう。
また家財のうち、30万円を超える貴金属・美術品・宝石・骨董品については、「明記物件」といって保険証書に明記する必要があります。
もし明記されていなければ、これらは十分な保障を受けられない場合があるため、必ず加入時に申告しましょう。
【火災保険で補償できる物損の内容】
多くの火災保険では、次のものを補償内容としています。
◆不測かつ突発的な事故による破損
うっかり物を落としたりぶつけたりしてしまったことが原因で、建物や家財が破損した時の補償です。
◆物体の落下、飛来、衝突による破損
家の外から飛んできたもの、上から落ちてきたものなどが建物や家財にぶつかった場合の補償です。
◆騒じょうによる破損
集団的な破壊行為によって建物や家財が被害に遭った場合の損失を補償するものです。
【火災保険の物損で保険金が支払われる例】
火災保険でどのような物損について保険金が支払われるかを、具体例をご紹介します。
ただし最終的には個別の発生状況から保険会社の判断することですので、あくまで参考としてください。
◆子どもが家具を壊す
子どもが突然走り出したり、ふざけて物を投げたりして、テレビなどの家具を壊すことは、お子さんがいるどの家庭でも起こり得ることです。
このような子どもの行動による物損であっても、火災保険の補償の対象になります。子どもは大人が予測できないような行動をとるため、火災保険があると安心ですね。
ただし対象となるものは自宅の建物や家財ですから、他人の物を補償する場合は、個人賠償責任保険に加入する必要があります。
◆引っ越しや大掃除で物を壊す
引っ越しや大掃除などで、家具を移動させている時に誤って落として破損したり、壁にぶつけて穴を開けたりしてしまった時は、火災保険の補償の対象になることが多いです。
日常生活でよくあるこうした失敗がカバーできるのは嬉しいですね。
◆窓ガラスの破損
ボールや鳥などが窓ガラスに衝突して割れてしまうことがありますが、これも火災保険で補償することができます。
また、窓ガラスは日光が当たる部分と窓枠の部分との温度差によって、ガラスにヒビが入る「熱割れ」を起こすこともありますが、これについても不足かつ突発的な事故として補償の対象になる場合があります。
ガラスが破損していたら、保険会社に相談しましょう。
◆泥棒に家を荒らされた
万が一、泥棒に侵入されてしまった場合も火災保険で補償できるものがあります。
たとえば泥棒が侵入する際に割った窓ガラスや壊されたドアのカギなどは、その修理代や交換代を補償することが
可能です。また、中には盗難被害そのものを補償できるタイプの火災保険もあります。
◆自宅に自動車をぶつけた
車庫入れの際につい運転操作を誤り、自宅のガレージなどを損壊させてしまった場合も、火災保険が適用できるケースがあります。
自動車の衝突なら、自動車保険の「対物保険」が使えるのでは?と考えるかも知れませんが、この対物保険とは事故の当事者となった相手側の車や塀などを指します。つまり自宅を損壊させた場合は、自動車保険の対象外になってしまうのです。
この場合は、物体の衝突による破損として、火災保険から補償を受けることができます。
ただし車両については火災保険の対象外ですので、自動車保険に車両保険を付帯していれば、自動車保険から補償を受けることになります。
◆集団的な暴力行為により門が壊されていた
怖い話ですが、何らかの理由で集団が暴徒化して物を壊すことがあります。
現代では考えにくいと思うかも知れませんが、最近では、2018年の渋谷におけるハロウィンでの器物損壊のような事件も発生しています。
補償の対象になるかどうかは個別の被害状況で判断するしかありませんが、このような補償もあることを知っておきましょう。
【火災保険の物損に支払われる保険金はいくら?】
火災保険は損失を補償するための保険ですので、物損については、壊れた物品の修理代や交換代などの損害額が支払われます。
ただし、自己負担金(免責額)を契約で設定している場合は、その金額を差し弾いた金額が支払われることとなります。
免責額をつけると保険料が割安になるというメリットがあるため、カバーできない金額分だけ火災保険に加入するという方法もおすすめです。
【まとめ】
多くの火災保険では、このように不測かつ突発的な事故や、物体の落下、飛来、衝突などによる家屋や家財の物損を補償しています。
特に家具の移動による破損など、どの家庭でも起こりうる日常的な事故について補償が受けられるのは安心ですね。
加入中の火災保険で、家屋や家財の物損にどのような保障があるか、一度、保険証券を確認しておきましょう。